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いろのないお話。


 母との記憶に出てくる色は、とても少ない。
 真っ白い部屋で、真っ白い母は、いつも難しいような気の抜けたような顔で、文字を追い。時には血の匂いをさせて、好きなものを買ってこいとお金だけを渡してきた。

 いま思えば、あの生活は。




「なんでお金が続いたか不思議なのよね」
「…………特売セールのちらしを見ながら重い告白しないでくれ」
 なら何をしながらよかったと言うのか。
 たぶん、なんでも駄目だろう、自分のことのように痛いと言うような顔をする、この人は。…でも、この話は。
「…重いの?」
 当たり前のことで、重いなんて思わないから。
 常々軽いとか言われるのかしら。
「…………いや」
 たっぷりと間をおいて、ひどく複雑な顔をして、彼はそう言う。
「お前が重くないなら、たぶん、いいんだよ」
 じゃあいくかと伸ばされた手のひらに、特に疑問なく手を重ねる。
 僅かに驚いた顔をされるのが、少しだけおかしいと思った。




 基本的に娘を産んだ頃には目が死んでた祐絵母。多分父は誰も知らない。ちなみに名前は実央花と書いてみおか。
 …特に語る機会がなさそうな裏設定では昔は結構有名な研究者でした。ぷち財産持ち。一時期とはいえ評価されてた名前だからこそ、祐絵は孤児院の方の姓を名乗ってます。まあ、そのくらいの「有名さ」や「有能さ」は別に魔術師的にはありがたがるほどのものでもなかったのだけれども。
 そこそこに有名で優秀な人でしたが、徐々に研究内容が歪んでいきました。その結果、周りの目線的に住んでた町にいられなくなりました。もってた山にこもってみました。そこでますます戻れないところまでいってしまいました。
 彼女が求めていたのは永遠の命でしたので。いきつくところまでいって、自分の身体で色々試してみたその末路はまあ語るまでもないと言うあれですね。


 …なお、魔術に耽溺しまくった女という意味で祐絵と拓登の母親は同類なので。それだけ思うと二人の未来はわりと結構薄ら寒いですが。まあ、二人とも傷のなめあいしたくて一緒にいるわけじゃないので、たぶん暖かいところにいくのでしょう。というか二人とも、大して母親に感慨ないしなあ。

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